背中合わせ.
「 909はLittle Beanを長い紐でつないでいる 」
これはbear watcherたちの言葉.
彼女たちが普通の親子よりも離れて行動することを表現しています.
私がLittle Beanの存在を知った時、Explore(https://explore.org/livecams)のライブカメラから目が離せなくなったのもこのためでした.
前回の続きを始めるために、少し時間を遡ります.
909が2頭のこぐまと一緒にブルックス川に現れ、Bear watcherたちを驚かせたのは2021の6月.
5歳で早くも初めての出産&子育てをすることとなったのです.
冬眠中に出産した909はブルックス川に到着してすぐに1頭のこぐまを失いました.
残ったこぐまがLittle Bean.
後に女のこぐまと判明します.
909は新米ママゆえか、空腹のためか、それとも彼女の個性なのか、Little Beanのことをあまり気にかけているようには見えませんでした.
Little Beanはいつも必死で909の後を追います.
けれども909は待つ様子もなく先へと進んでいってしまう.
歩いていても、泳いでいても、いつも909とLttle Beanの間には他の親子以上に距離がありました.
途中で大きな雄ぐまは現れないだろうか...
急流に飲み込まれ流されてしまわないだろうか...
たくさんのbear watcherが固唾を飲んでLittle Beanを見守っていました.
ライブカメラは防犯カメラを改造したもので、決まった場所に固定されています.
彼女たちの姿をずっと追えるわけではありません.
親子が離れたまま姿を消すと、次の日再び姿を現すまで、Little Beanが無事かどうか気になって仕方がありませんでした.
Brown bearのこぐまが無事に成獣となる確率は40%といわれています.
食べ物が豊富にあるブルックスリバーではもう少し確率が高くなるとのことですが、毎年何頭かのこぐまが命を失うのを知ることとなります.
解放(=親離れ)後、ひとりで生きていく過程で姿を消すsub adult(若ぐま)もいます.
その中には冒険心に導かれ新しい土地で生きていくものもいますが、レンジャーによって遺体で発見されるものもいるのです.
アラスカに冬の足音が聞こえはじめ、くまたちが冬眠の準備を始める頃、ライブカメラは停止されます.
Little Beanが初めて現れた年の冬.
最後に親子がカメラから去った時も、ふたりは一緒のフレームには入っていませんでした.
果たしてLittle Beanは909と一緒に冬眠できたのだろうか?
私は冬の間、遠く離れた土地に生きるこの1頭のこぐまのことを何度も考えました.
けれどもそんな心配をよそに、翌年の春、緑あふれるブルックス川に親子は元気な姿を見せました.
前回、Beanがひとりでいるところを目撃されても、解放されたと決めるにはまだ早いと言ったのはこの理由からです.
2022年には、Beanはブルックス川を挟んで909と1時間以上離れていたという目撃談もあるくらいですから、また何事もなかったように一緒に歩く親子の姿を見ることができるかもしれません.
まだ「Little」 Beanだった頃からベテランレンジャーたちに「 すでにこのこぐまはほとんどのことを自分ひとりでできています」と言われたBean.
もしもmama bear 909やaunt bear 910&従姉妹のBeadと離れても立派に生き抜いていくことでしょう.
Beanがイキイキと成長する姿を見るのが今からとても楽しみです.
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