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  • 執筆者の写真Yuko O

風の強い日

更新日:2023年12月30日





昨年の秋.

冬眠への旅を目前に、2頭の仔ぐまを順調に育てていたはずのベテラン mama 402がそのうちの1頭を失った.

何があったかはわからない.

定点カメラはもちろん、レンジャーも目撃していなかった.

残された親子がプラットフォームの下で、身を寄せていた.

風の強い日だった.

402の丸めた腕の中に子ぐまが体を入れる.

丸々と愛らしい.

いなくなった仔ぐまも同じように健康だった.

胸が締め付けられた.


春、mama bear 402と姿を現した生き残りの仔ぐまはほとんど大きくなっていなかった.

頭に比べて体が小さく、仔ぐまというより瓜坊のようだった.

滝でmama bearがサーモンをキャッチしても、分け前にあずかることはなく、一向に成長しなかった.

ただ滝の上で流されないように俯いて立っているのが精一杯の哀れな小さい仔.

もしかしたら遺伝的な問題を抱えているのかもしれないと思う人もいた.

「ナゲットちゃん」と親しみを込めて呼ぶ人たちは、サマーバケーションの後、402がこの小さな瓜坊を無事に連れ帰ってくることだけを祈った.

だが、驚くことに仔ぐまは大きく成長して戻ってきた,

もう瓜坊ではなかった.

確かに痩せてはいたが、痩せた仔ぐまになっていた.


そして、心も変貌していた.

俯き加減にmama bearについて歩いていた仔は、周りのあらゆることに喜びを感じて好奇心を満たそうとする命の塊になっていた.

mama 402がサーモンキャッチのためにこの仔ぐまを置いていくと、その場で待っていないことも多く、ベテランを超えてそろそろ子育てが体力的にキツい高齢の402が気の毒に思える場面もあった.

途中でlittle mateを失った彼女は、やがて、よく砂嘴で一緒になる94の2頭の子供たちに興味を持ち始め、そのうちの1頭も同じように彼女のことが気になるようだった.


94の仔ぐまも402Jr.と同じ2年目の仔ぐまだ.

お互いの母親が見守る中で遊んでいた335LOと306Wookieや909Jr.Beanとひとつ年上の335LOとの間に起きたような和やかな戯れをこの仔ぐまたちにも期待した.

だが、94はそれを許さなかった.

目撃していたレンジャーによるとかなりの勢いで402Jr.に攻撃を加えたらしい.

サーモンキャッチをしていた402が気づくのが遅かったら、それは致命傷になっていただろうということだった.

その後、定点カメラに映った402Jr.の体にはいくつかの赤い傷口が見られた.

この94の仔ぐまたちというのは昨年生まれた四つ子の生き残りだ.

94の行動はmama bear としてのまだ新しい嫌な記憶からくるものだったのかもしれない.


親離れしきれず寂しく彷徨っていた335 LOと909Jr. Beanが遊び始めた時、Bear watcherたちが「909が寛大でいてくれてうれしい」と言っていたのをよく覚えている.

今となっては、1歳違いとはいえ、親離れしたサブアダルトと我が仔を遊ばせるということは特例なのだということがわかるようになった.


話が少しそれてしまった.

402はベテランであると同時にとても大きくて見栄えのいい雌ぐまだ.

長年のBear watherに言わせると402Jr.は彼女の子供たちの中でも一、二番に美しいという.

「ナゲットちゃん」と呼ばれた小柄で内気なぐま.

彼女が厳しい自然を生き延びて立派な雌ぐまになるのを見ることができたら、どんなに素晴らしいことだろう.




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